なでしこジャパンのランキングが下がった理由について考えた話(後編)です。
ランキング低下の原因?
前編では、なでしこジャパンのランキングが11位まで下がってしまった理由に関して、単に監督の交代によるものではなく、もっと根本的な問題が有るのではないかと考えました。
では、何が、原因なのでしょうか。
2011年のドイツワールドカップで、なでしこジャパンが優勝をしました。
優勝を境に、女子サッカーは、完全に世間的に市民権を得て、スポットライトを浴びるようになったと言っても良いでしょう。
実は、この市民権を得たというのが、なでしこジャパンのランキングが下がることになった、原因の一端なのではないかと言うのが、私の仮説です。
環境の影響
2011年の優勝メンバーには、澤選手や宮間選手のように、ジュニア時代に、男子のチームで活躍していたという選手が、少なからずいます。
これは、女子のチームがそもそも少なく、男子のチームでやらざるを得なかったという背景も有るのですが、結果として、体格で上回る相手と互角か、場合によっては上回るパフォーマンスを発揮する選手が育成されることになったと言えるわけです。
この、日本人の男子に対するパフォーマンスが、ちょうど体格で勝る欧米の女子チームに対しても良好な結果を生み出したのだと考えられないでしょうか。
そして、そういった環境で選抜されてきた世代のピークが、2011年のワールドカップだったと思うのです。
環境の変化
その一方で、2007年には、JFAが、
- 2015年までに女子プレーヤーを30万人にする
- 才能の発掘と育成のシステムの強化
- 2015年女子W杯での優勝
を目標とした、「なでしこvision」を打ち出し、女子サッカーの強化を図っていました。
そういった努力と共に、2011年の優勝による人気などにより、女子がサッカーを行う環境も整備されて行くことになりました。
現在では、JFA(日本サッカー協会)の公式サイト「JFA.jp」にある、チーム検索サイト(チーム情報検索一覧 / JFA SQUARE)で、中高生が参加できるチームに関して調べてみると、男子:151、女子:199と、女子の方が多かったりします。
女子だけのサッカー
という事は、ある程度、男子に混じることなく、女子だけでサッカーが出来る環境が整ったわけです。
そのため、自分と同じような体格の選手と競うことになり、欧米の体格ある選手に対するパフォーマンスを、低下させてしまったのではないでしょうか。
その結果として、欧米のチームに対して、成績が振るわなくなったのです。
とは言え、決して選手の基本的な能力が低いと言っている訳ではありません。
その事は、中国、韓国、タイと言う、体格がそれほど違わないと考えてもいい国と決勝ラウンドを戦った、「EAFF E-1サッカー選手権2019」では、見事に優勝をしているのにも現れていると思うのですが。
強化策
以上の事を踏まえると、強化策としては、男子チームと強化試合を行う事で、欧米の体格のある選手に対するパフォーマンスを向上させることが考えられるという事になります。
都合のいいことに、男子には、高校生からJ1まで、様々なレベルのチームが有る訳ですから、仮想欧米のチームには事欠きませんよね。
図らずも、オリンピックは延期となりましたが、新型コロナが終息しても、国際試合を組むという状況になかなか成り辛い事が予想されますので、こんな強化策はどうでしょうか。
ではでは