囲碁・将棋のプロについて考えた話です。
何歳までネイティブに?
英語関係の調べ物をしていて、興味深いものに行き当たりました。
アメリカに移住した韓国語や中国語を母語とする子どもについて、英語学習を始めた年齢と英語の習熟度の相関関係を、英語力テストの得点で調査したというものです。
その結果が次のようなものでした。
縦軸の点数は、その具体的な値は別として、3-7歳までの点数はネイティブと同等という事になります。
7歳までに英語環境の中で暮らし始めれば、ネイティブとほぼ同じ英語力を得ることが出来るというのです。
こういった研究の結果をもとに、英語は何歳までに始めなければいけないといった話がよくされる訳です。
とはいうものの、これはあくまでもネイティブと比べるとという事で、7歳までに始めなければいけないという意味ではない、と自分に言い聞かせています。
将棋や囲碁のプロも
それはさておき題名に挙げた、囲碁・将棋のプロについてですが、ここまでの話のような事が彼らについても言えるのではないかというのが、今回の記事となります。
プロの多くは、今や飛ぶ鳥を落とす勢いの藤井4冠の5歳を始め、比較的多くの人が極若い頃から始めています。
つまり、7歳(が正しいのかどうかは勿論分かりませんが)ぐらいまでの早い時期に始めた人は、将棋もしくは囲碁のネイティブと言えるのでは無いかと言う事です。
言語も、将棋や囲碁も、脳の発達が関係していそうですから、それ程的外れでもないだろうと思っているのですが。
もっとも、将棋の森雞二九段のように、将棋を始めたのが16歳からという人もいるので、一概に絶対に必要だとは言えないところも有るのですが。(この辺りに一縷の望みを感じるわけです)
加えてこう考えると、将棋や囲碁におけるプロとアマの差や、習得の難しさがある程度説明出来るのでは無いかと思うのです。
プロとアマの差
英語で例えると、プロはいわゆるバイリンガルで、アマは国内で学習している様々なレベルの人たちという事になるでしょうか。
国内で学習していても、帰国子女並みに英語を操れる人がいるように、アマのトップレベルはプロと一部重なる所がある訳です。
ネイティブ並みと言っても、先の研究のグラフからも分かる様に、その程度は様々ある訳で、そのあたりが戦績、序列になるというのは単純化が過ぎるでしょうか。
日本語のネイティブで考えると、ネイティブとは言っても、小説家や詩人、歌人のように言葉を操れる人達もいるように、そのレベルは色々あるという事なのかもしれません。
習得の難しさ
以前にも記事で書いたことが有りますが、プロの書かれた本などを読んでいて感じる、どうしてそうなるのかが知りたいといった、言語化が足りないという状況についてはどうでしょうか。
これも日本語のネイティブの立場に置き換えて考えると、理解出来そうです。
あるシチュエーションで、何かを伝える時に、どのような言葉を選んでどのような文にすればいいかは、当然何も考えなくても出来ます。
また、間違った日本語を聞いた時に、それを指摘することも出来ます。
しかし、どうしてそうなのかを説明しろと言われると、そうなのだとしか言いようが無いのではないでしょうか。
つまり、将棋や囲碁においても、言語化がされていないのではなく、ネイティブであるプロには出来なかったという事なのでは無いでしょうか。
ネイティブとしては、そうなるのが当然という事なのです。
という事で、年取ってから学ぼうというものにとっては、どうしてそうなるのかがなかなか理解出来ないということになるのです。
以上、なかなか将棋と囲碁が上達しない言い訳の回でした。
ではでは