先史時代の壁画についての話です。
洞窟壁画と似ている
ここしばらく考えている言語獲得による左脳優位の話ですが、その元ネタとなった番組「あなたの中に眠る天才脳」では、サヴァン症候群の人の書いた絵と、先史時代の洞窟壁画の類似性についても触れられていました。
具体的には、自閉症の少女が4才の時に描いた馬の絵
引用元:Nadia | きらめき星 @ オーストラリア - 楽天ブログ
が、フランスのショーヴェ洞窟にある先史時代(約3万2000年前)の壁画
と比較しての話になります。
見ての通り構図は異なりますが、いずれも写実的である点では、確かに類似性が見られます。
言語能力による抑制
上の絵を描いた少女は、長じてその才能を失ってしまいます。
次が、彼女が20才の頃に描いた馬の絵です。
引用元:Nadia | きらめき星 @ オーストラリア - 楽天ブログ
研究者は、この原因を彼女が言葉を学んだことに求めました。
このことから、言語能力により右脳の視覚的記憶の能力が抑制されていると考えられるようになりました。
言語能力の発達が十分でない
そのことを踏まえると、ショーヴェ洞窟の壁画を描いた時の人類は、あまり言語能力が発達していなかった可能性があったと言えそうです。
少しは話せたのかもしれませんが、右脳の視覚的記憶の能力を抑制するほどには発達していなかったと考えられるのです。
番組としては、言語により視覚的機能の能力が阻害されるのではあるが、そのマイナス面を上回るプラス要素が言語獲得にはあるという纏めでした。
見方を変えると
ところで、この言語と壁画の関係は、別の見方も出来そうな気がするのです。
ショーヴェ洞窟は、約3万2000年前のものでした。
有名なラスコー洞窟の壁画は、約2万年前と見られています。
どうでしょうか、写実的ともいえますし、線画的になりつつあるとも言えそうです。
さらに、紀元前4000年頃と考えられている、タッシリ・ナジェールの壁画はどうでしょう。
写実よりも簡略化された線画的になっているように思います。
地理的な位置が異なるので一概には言えませんが、年代が若くなるに従って、写実から線画へと変化しているように見えます。
これと言語による視覚的機能の能力抑制とを合わせて考えると、壁画の描き方から、それを描いた人々の言語能力がある程度推定出来ないでしょうか。
文字の無かった時代の言語についてその発達段階が、ある程度推定出来る指標にならないですかね。
ではでは