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時間だけはある退職者が、ボケ対策にブログをやっています。

邪馬台国サミット2021覚書

邪馬台国サミット2021」で出た話の覚え書きです。

 

 

覚え書き

 NHKBSで元旦に放送された「邪馬台国サミット2021」については、そのの内容を基に、二つの記事を書きました。

 

yokositu.hatenablog.com

 

 

yokositu.hatenablog.com

 

特に前者では、三国志を研究している専門家(早稲田大学教授 渡邊 義浩)による、魏志倭人伝に情報操作が有るのでは無いかという話から、作者陳寿による改竄について考えました。

その専門家もよる情報操作に関する話の中に、覚えておいた方がよさそうな話がいくつかあたので、私の覚え書きも兼ねて、書いておきたいと思います。

その中で、陳寿による情報操作がされているのではないかとして、挙げられたのは、次のような点でした。

1.旅程
2.会稽東冶の東
3.鯨面文身
4.大人皆四五婦 下戸或二三婦

 

 旅程

1.旅程というのは、このブログでも何度も話題にしてきた話で、大陸の東南方から大国が朝貢に来たように見せかけるために、魏の使者の報告書の旅程を改ざんしたのではないかというものです。

これに関しては、上記の「やはり魏志倭人伝は改竄されたのか」で検討しました。

 

会稽東冶の東

 2.会稽東冶の東というのは、邪馬台国の位置について記された文言になります。

会稽東冶というのは、当時の統治名であり、会稽郡東冶県を意味していると考えられています。
その具体的な位置は、次の図のようになります。

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引用元:漢書地理志呉地

下の島のような部分は台湾ですので、東冶の東というのは、九州よりかなり南方を指していることが分かります。

番組では、魏志倭人伝より古い中国の記録に、倭国は会稽の東に有るとの記述が存在することが指摘されました。

上の図を見てもらえば分かる様に、会稽郡の中心会稽は、東冶よりもかなり北に有り、この東だとすると、種子島の辺りになる事になります。

この事から、陳寿が、邪馬台国の位置が南に在る様に見せるために、このような表現をしたのでは無いかというのが、番組内での主張でした。

 

 鯨面文身

 3.鯨面文身とは、顔と体に刺青をしているという意味です。

これについては、『礼記』(前漢)に「東に行くと顔に、南に行くと体に刺青が有る」という記述があり、台湾の東方とした邪馬台国には、顔と体に刺青をした人間が住んでいるはずという当時の常識に合わせたのではないかという主張でした。

 

 大人皆四五婦 下戸或二三婦

4.大人皆四五婦 下戸或二三婦というのは、身分の高い人(大人)は4,5人の妻を持ち、普通の人(下戸)でも2,3人の妻を持っているという意味になります。

女性の比率が、異常に多い事になります。

これについては、『周礼』(儒教経典)に中国で1対1の男女の比率が、遠くなるにつれ(野蛮になるにつれ)女性の比率が多くなると書かれていることを挙げ、これに合わせるように話が作られたという主張でした。

簡単には確認が出来ない

以上が番組内で主張された、陳寿による情報操作のあらましです。

私的には、これまで陳寿が改竄したのは、専ら旅程だと考えて来ましたが、その他の部分にも、辻褄を合わせるために手を加えていたというのは、納得のいく話です。

しかも、全てが邪馬台国を南方にある様に見せるためだという事で、意を強くしました。

しかしながら、これはさすがに、簡単に確認が出来る話でもないので(『礼記』、『周礼』を読むというのはねぇ)、最初に書いたように覚えとして残しておくことにします。


それにしても、「情報操作」というのは、さすがに上手い言い方だと思うので、これからは「改竄」の代わりに使おうかなと思っています。


ではでは