農耕の始まりについて考えた話・都市編です。
権力編
前回では農耕の始まりと権力について考えて見ました。
温暖化の中で農耕が始まり、その結果として共同体の数が増加します。
その中で気候の変化による農耕の不調により、共同体間の争いが発生し、そこで培われた武力を背景に、リーダーシップを取ったものが権力を掌握したという話でした。
権力の拡大
一旦権力が確立すると、後は共同体間の競争を勝ち抜いて、勢力を拡大し古代国家の形成に向けてまっしぐら、といきそうなものですが、現実はそうでは無かったようです。
これまで見てきたように、農耕の始まりは一万年前頃の温暖化の中で起きました。
それに対して、古代国家と考えられる都市遺跡は、約6000年頃のメソポタミアものが最も古いと考えられています。
これが確かだとすると、農耕の始まりとそれに続く権力の確立から、都市国家が成立するまでに4000年程かかった事になります。
都市国家程度の範囲を支配下に置くのに、4000年かかったというのは、普通に考えて無理が有りそうです。
どうやら、農耕を背景にした権力だけでは、都市国家の形成は出来なかったという事になりそうです。
他にも何か
都市国家が形成されるには、他にも何か必要なものが在ったはずです。
それを考えるために、農耕が始まった共同体と都市の違いを考えて見たいと思います。
例えば、規模はどうでしょう。
明らかに都市の方があらゆる面で規模が多いと言えるでしょう。
しかし、その為に4000年掛かるのはおかしいというのが、前項での話でした。
顕著な違いとして考えられるのは、都市には農耕を行わない人が多く住んでいた当店ではないでしょうか。
農耕が始まった頃の共同体では、そのほとんどが農耕に従事したはずです。
権力が発生した時には、それに関係する者は農耕に従事しなかったかもしれませんが、それ以外は従事したはずです。
生活に必要なものも、一部は外部からも入って来たかもしれませんが、基本的にはその共同体内で造り出されたと考えられます。
それに対して都市では、権力層以外にも商工業者のような農耕に従事していない人々も多く住んでいました。
何が彼らを
商工業に従事しているような人たちを、農耕による生産物を力の源泉とする権力でコントロールすることは難しそうです。
生産物を渡さないと脅しても、他の都市に逃げればいいだけです。
そもそも、都市に住む人々は、農耕による生産物を貰う事によって生活していたわけではありません。
貨幣またはそれと同等の機能を果たす物、すなわちお金によって生活をしていました。
現在の我々と基本的には変わりません。
お金というものが使われるようになって、初めて権力は都市国家を作る事が出来たと考えられそうです。
彼らの安全を担保するための権力という立ち位置が出来る事により、都市国家が形成されたのです。。
やはり、お金が全ての焦点なのでしょうか。
ではでは