農耕の始まりについて考えた話・解答編です。
疑問編
どのようにして農耕が始まったかについては、気候変動により狩猟採集生活が出来なくなった事に対処する形で開始されたという考え方が有ります。
本ブログでも、そのように考えてきました。
それに対して、疑問を提示したのが前回の話でした。
農耕は、太陽活動の変化の影響を見ても分かるように、気候変動に対して脆弱であり、狩猟採集が困難になるほどの環境変化のなかで、農耕が出来るようになるとは考え難いというものでした。
ではどのようにして農耕が始まったのか、という疑問に対する現状の私の解答が今回の話です。
農耕は何時から
先ず、そもそも農耕が何時から始まったのか見てみます。
日本では農耕社会は、弥生時代から始まったと学校で習いました。
その後、三内丸山遺跡の栗のように、栽培農耕そのものはそれより前から行われていたと考えられるようになって来ました。
それに対して日本以外の世界では、農耕がそれよりも古い時代から行われていたことが分かっています。
従来は、紀元前九千年から一万年前に始まったと考えられていたようですが、現在では、紀元前一万一千年頃まで遡ると言う研究もある様です。
気候の変化で見ると
この農耕の開始時期を、前回も引用した図で考えてみます。
引用元:最終氷期/ヤンガードリアス期/完新世 - 歴史の世界を綴る
この図で見ると、紀元前一万一千年前から九千年前は、ヤンガードリアス期が終わり急激に温暖化していく時期だという事が言えそうです。
という事は、ヤンガードリアス期の終わりごろには、原始的な農耕が始まっており、その後の気候の温暖化の中で発展したと考えられそうです。
やはり、気候が悪化していく中で、生き延びるために農耕が始まったとするのは単純すぎるようです。
どう始まったのか
では、ヤンガードリアス期の終わりごろにあった、原始的な農耕はどう始まったのでしょうか。
これについては、今のところ何の裏付けもありませんが、次のように考えています。
ヤンガードリアス期の気温の低下により、狩猟採集をする環境が悪化した事は間違いないでしょう。
様々な条件に直面する中で、狩猟よりも採取の比重が大きくならざるを得ない環境(
それがどのような環境であったかは、示すことが出来ませんが、思考実験という事で)に住み着いたグループもいた筈です。
その中で、採取対象の生育条件とか、どの時期に何が採れるのか、どうやって成長するのかといった情報が蓄積されていきます。
それが、後の温暖化の中で農耕技術として開花することになったのでないでしょうか。
最初は、三内丸山の栗の木のような原始的な栽培のようなものだったのかもしれません。
以上が、前回の疑問に対する今のところの解答という事になります。
やはり、人類の歴史と気候は切っても切れない関係にあるようです。
ではでは