アリストテレスの自然発生説について考えた話です。
白鳥の首フラスコ
テレビをつけっぱなしにしていたら、パスツールの実験がみたいな話が聞こえてきました、
画面を観たら、昔教科書で見た気がする変な形のガラス器具が映っていました。
こんなやつです。
引用元:フラスコ - Wikipedia
一見すると失敗作じゃないかと言われそうな形ですが、「白鳥の首フラスコ」という名前がついています。
これを使ってパスツールが行った実験によって、アリストテレス以来の「自然発生説」が否定されたというものです。
パスツールの実験
「白鳥の首フラスコ」を使ってパスツールが行った実験は、次の図のようなものでした。
引用元:感染症病原体VS人間の攻防史。「えんがちょ!」から抗生物質の実用化まで(旦部 幸博,北川 善紀) | ブルーバックス | 講談社(2/4)
微生物が入り込まないようにしておくと腐敗しないことから、空気中から微生物が生まれて来るのではなく、空中から落下して来る微生物によって腐敗する事を示したとされています。
この時巧妙だったのは、空気は出入り出来るが微生物は入り込まないという条件を、「白鳥の首」で作り出した点でした。
アリストテレスの自然発生説
ここで、パスツールの実験で否定されたとされるアリストテレスの自然発生説とはどのようなもだったのでしょうか。
読んで字のごとく、生き物が親の世代からではなく、自然界から直接生まれてくると考えるものです。
古代ギリシャの哲学者アリストテレスが唱え、長らく正しいとされて来ました。
それを否定したのがパスツールの実験だった訳です。
この自然発生説ですが、アリストテレスは、その過程について次のように考えていたようです。
1.生命の基となる「生命の胚種」が世界に広がっている。
2.この生命の胚種が「物質」を組織して生命を形作る。
何もない所からポンと生まれて来るのではなく、「生命の胚種」と「物質」が必要だという事です。
という事であれば
生物の自然発生に「生命の胚種」と「物質」が必要だという観点からパスツールの実験を考えてみます。
パスツールの実験は、あくまでも物が腐敗するのは、空気中の微生物によるもので、自然に発生したものではない事を証明しただけに過ぎないと言えないでしょうか。
パスツールの実験では、「生命の胚種」と「物質」という自然発生に必要な条件が満たされていなかっただけではないのか。
これをもって、自然発生説が否定されたというのはどうなんでしょう。
更に、よく考えてみると、「生命の胚種」というのを「生命の発生する環境条件」、「物質」を「生命を構成する物質」と考えれば、現在の科学が追い求める生命発生の謎と同じだと言えないでしょうか。
現代科学はより精密になったかもしれないですが、根本的な考え方はアリストテレスからあまり変わっていないのかもしれません。
アリストテレスは、ウナギ・エビ・タコ・イカなどは海底の泥から産まれると言っているようですが、それは間違っていると思います。
ではでは