お勧めのSF作品についての話です。
開かずに手紙を読む
折りたたまれた手紙を開かずに読むことが出来たという記事を読みました。
単純に開けば読めるものを、スパイでもないのにどうしてそんなことをする必要が有るのかと言えば、その手紙が時代を経た遺物で、開くことに拠り損傷する恐れがあるためです。
この記事を読んで最初に思ったのは、ついに現実が追い付いてきたか、ということでした。
お勧めのSF
お勧めのSFを一冊と言われた時によく挙げている本に、ジェイムズ・P・ホーガンの「星を継ぐもの」があります。
月面調査員が、真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。綿密な調査の結果、この死体はなんと死後5万年を経過していることが判明する。
引用元:星を継ぐもの - ジェイムズ・P・ホーガン/池央耿 訳|東京創元社
というもので、その死体の正体を探っていくと驚くべき真相が、という本格ミステリと言っても良い内容の作品です。
五万年前の死体と言っても、タイムトラベルものではありませんし、殺人事件でもありません。
しかもその謎に、人類の起源、太陽系の先住知的生命体!?、冥王星の起源といった事象が絡み合ってきます。
謎は、しっかりと論理的に解かれて行きます。
勿論、その論理の中には、巧妙に科学的なフィクションが組み込まれており、SFとしても秀逸な一品となっています。
記事との関り
さて冒頭の、現実が追い付いてきた件ですが、話の中で、死体と共に見つかった手帳とおぼしき物の中を確認することになります、しかしながら、なにせ5万年前のものですから軽々に開けるという事も出来ない訳です。
そのために、上記の記事で説明されているのと同じようなものが使われるのです。
さすがに使われている技術は異なっていますが、行う事はほぼ同じです。
作中では、その装置を開発した主人公が、手帳の分析を頼まれたことから、巻き込まれていく事になります。
ジェイムズ・P・ホーガン
作者のジェイムズ・P・ホーガンは、残念ながら2010年に亡くなっていますが、ほかにも何冊かの作品が翻訳されています。
その題材も幅広く、興味深いものが多くあります。
少し紹介すると
『造物主の掟』:土星の衛星タイタンに機械生命体の世界が発見される話です。
『未来の二つの顔』:人工知能が知性を持った時に、人間との関係はいかにという話です。
『断絶への航海』:他の恒星系への植民と、そこに形成される社会に関する話です。
と言った感じです。
私の説明では、堅苦しい話のようになってしまいますが、センスオブワンダーもしっかりありますし、いずれも後味の良い話になっていますので、安心して読んでいただけると思います。
ジェイムズ・P・ホーガン、お勧めです。
最近になって、再び月へという機運が高まっていますので、近い将来、月の上をまた宇宙飛行士が歩き回ることになりそうです。
そうなれば、後は真紅の宇宙服が発見されるのを待つだけです。
そして、我々が「星を継ぐもの」となる、なんてことになりませんかね。
ではでは