人間が世界中に拡散した理由について考えた話です。
世界への拡散
現在までのところ、我々人間(ホモ・サピエンス)は、7万年前にアフリカから外へ移住し始めたとする、いわゆるアフリカ単一起源説が有力と考えられています。
という事は、この7万年の間に世界の隅々まで行き着いたという事になります。
これは一つの種の動物としては驚異的な事です。
なぜならば、寒暖、高度差などによらず世界中どこに行っても、肌の色とか鼻の高さとか若干の違いは有るにしても、人間は人間のままなのです。
普通は、環境の変化に適応する形で変化をする筈なのに、人間にはそれが無いのです。
それは、人間には、知能とそれによる文明、文化が有るからだと考えられます。
それらによって、極地を含むあらゆる環境に適応してきたわけです。
では、環境に適応できることは分かったとして、なぜこれほどまでに世界中に拡散したのかというのが今回の話になります。
好奇心から
こういった疑問に対して、よく出て来る話に、我々人間には好奇心が有るからだというものが有ります。
知能というものを得た我々は、未知の物について知りたい、分かりたいという考え、即ち好奇心を持つようになりました。
山の向こう側や、海を渡った先には何が有るのか知りたいと思うようになりました。
それを確かめるために旅を続け、世界中に拡散したという訳です。
確かに好奇心は有るが
確かに我々人間には、好奇心というものが有ります。
そして、その好奇心によって、旅に出るという事も有ります。
現在でも、極地や人跡未踏の地を目指す、冒険家と言われる人々がいる事も確かです。
しかしそれだけで、世界中に拡散するほどの行動力を生み出したのかと言われると、甚だ疑問だと思うのです。
例えば、何時の時代にも冒険家のような考え方をする人間はいたと思われますが、果して家族がそれについていったのでしょうか。
現在でも、家族と共に冒険をする冒険家はほとんどいないはずです。
帰る場所があってこその冒険家なのです。
移動する条件は
生活基盤が狩猟採集生活であっても、ある程度安定した状況でそれを捨てて、山の向こうや海の向こうの未知の状況に飛び込もうとは思わないでしょう。
冒険心を持った本人はともかく、その家族は、そんなバカげた行動について行こうとは思わなかったはずです。
ではどんな状況では、ついていこうと思うでしょうか。
それは、それまで生活してきた場所の環境が悪化して、生活出来なくなった時でしょう。
その場にいても死を待つだけで有るならば、一か八かの行動に出る人々もいたはずです。
人間が世界中に拡散した理由は、好奇心からではなく、環境の変化から逃れるためだったのです。
山の向こうや海の向こうに何が有るのか知りたかったのではなく、山の向こうや海の向こうに行けば何とかなるかもしれないと思ったからなのです。
という事は、人間の拡散のスピードは、文明、文化が発達していなくて環境変化に対応する能力が低かった、初期の頃に大きかったと考えられます。
この辺りが、肌の色の違いや、鼻の高さの違いといった地域差を生んだのかもしれません。
好奇心だけでは生きていけないという話でした。
ではでは