横から失礼します

時間だけはある退職者が、ボケ対策にブログをやっています。

私家版シン・ウルトラマン

 製作が発表されたシン・ウルトラマンの私家版、まあ回顧趣味のバカ話です。


真市は、恐れていた。
彼は、海底都市に住んでいた。

それは、数日前に始まった。
彼の働いている海底鉱山を、正体不明の円盤に乗った生物が襲ったのだ。
生物は、2足歩行のエビのような外観であった。

円盤は、なんの前触れもなく、鉱山に襲いかかってきた。

真市は、同僚を助けるために、一人坑道に取り残されてしまった。
もうだめかと思ったとき、光が彼を包み、気が付くと、光を纏った巨人と向き合っていた。

「若者よ、私は、光の国からやって来た者だ。この星の民との古よりの盟約により、勇気ある君に、私の力を与える。」
と言って、巨人は、ペン状の物を、真市に渡した。

「さあ、右手でそれを掲げるのだ」
言われた通りにすると、真市は、自分が坑道を抜け出し、光の巨人として円盤と対峙していることに気が付いた。

真市=巨人が現れると、円盤は逃げ出したので、真市は、後を追おうとした。
「まて、今の私にはエネルギーが無い。今日はここまでだ。」
巨人の声が、真市の頭の中に響き、気が付くと、彼は一人で佇んでいた。
右手には、しっかりとペン状の物が握られていた。

それからである、真市が、働いている鉱山で採取される物を食べるようになったのは。
日に何度か無性に食べたくなるのである。

あれ以来、巨人は何も言ってこなかった。
あの巨人は何だったのか、こんなものを食べる自分はどうなってしまうのか。
真市は、恐れていた。

再び、円盤が襲ってきた。
今度は、海底都市も狙われた。
同時に、地上も、母艦と思しき巨大円盤を中心とする一隊に攻撃を受け、かろうじて科特隊が反撃していた。

「さあ、みんなを守るんだ。掲げろ!」
真市は右手を掲げた。

今回は、円盤たちも逃げようとはしなかった。
真市=巨人は必死に戦った。
円盤たちが退却を始めた。

「今回は逃がさない!」
真市=巨人はどちらからともなく叫んで、追跡した。
そのまま、上空に飛び出した。

「これが、空か」
真市は、地上に上がったことはなかった。

海岸に巨大な生物が出現した。あの円盤にのっていたやつである。
挑発しているのか、ハサミ状の両腕を上げ揺らしながら、
「フォッフォッフォッフォッフォッ」
と声を出していた。

「あれは?」
「バルタン星人だ。私は、彼らを追ってきたのだ。」

真市=巨人はバルタン星人に飛び掛かったが、瞬間移動と、それを応用した分身で捉えどころがない。

「なんだよあれ。」
「彼らは、宇宙忍者とも呼ばれている。それよりも、彼らには弱点がある、スペシウムだ。」
「スペシウム?そうか、それで鉱山を。」
「そうだ、先ず弱点を押さえようとしたんだ。スペシウムは、君たちの鉱山でしか採れないからな。今では、君の中にもあるがな。」
「ああ、たっぷりと食べさせてもらった。」
「さあ、スペシウムの力を開放するぞ。」

真市=巨人は、胸の前で手をクロスさせ叫んだ。
スペシウム光線!」
手からほとばしったエネルギーにより、バルタン星人とその円盤は、次々に燃え上がった。

全てが終わって、真市=巨人は佇んでいた。
人々が集まってきて、手を振り、口々に叫んだ。
「ありがとう、ウルトラマン

ウルトラマン?」
「お前のことだ。」
「俺?違う、俺はウルトラマンなんかじゃない。俺は。そう俺は、ウルトラノンマルトだ!」

俺は、何を守って闘うのか。
真市は、恐れていた。


 私家版シン・ウルトラマン -ノンマルトの勇者- 完


 ここまで、お付き合いいただきまして、ありがとうございます。
信じるか、信じないかは、あなた次第です。


 ではでは