人体のネットワーク構造について考えてみた話の続編2です
前回の話
前回の話は、BSで観た番組についてでした。
人間の体は、各臓器の間でメッセージをやり取りして成り立っており、そのメッセージを運んでいるのが、各臓器の細胞から出て来るエクソソームと呼ばれる顆粒である事。
そのエクソソームに様々な物質がはいっており、その内容によりメッセージが変化するという話でした。
ガンからもメッセージが
その例として、ガンの話が出て来ました。
栄養が必要になったガンは、そのメッセージ物質が入ったエクソソームを送り出します。
すると、それを受け取った血管が、ガンの方向に伸びる事によって栄養を運ぶのです。
また、免疫により排除されるのを防ぐために、免疫系に対して自己だと思い込ませて排除されないようにするメッセージ物質を含んだエクソソームを送ったりするというのです。
ガンに意志はない
というように、まるでガンが意志を持ってメッセージを発しているかのような話です。
勿論そんな訳は有りません。
そんな事が有るのならば、なぜ我々に脳が必要なのかという話になってしまいますからね。
生物学が根底から覆ってしまいます。
では、エクソソームとは何なのか。
エクソソームはゴミ袋
ズバリ、ゴミの入ったごみ袋でしょう。
以前の記事で、脂肪細胞から出るメッセージ物質のレプチンは、メッセージを伝えるためのものでは無く、単なる代謝産物ではないかという話を書きました。
代謝産物、言い換えるならば細胞からの廃棄物、ゴミです。
このゴミが、一種類ではなく色々と詰まった袋、ゴミ袋がエクソソームなのでしょう。
なぜ袋に入っているのか
どうして袋に入っているのかと言うと、システムの効率の問題なのだと思います。
ゴミ、すなわち代謝産物には、多種多様ななものが有ると考えられます。
それらを細胞の外に排出するとして、いちいちそれぞれの物を捨てるような仕組みを持つことは大変です。
そこで、それらの物をエクソソームという袋に纏める事により、エクソソームを排出する仕組みだけあればいい事になり、非常にシンプルになります。
従って、エクソソームにはゴミを詰めているだけで、メッセージ物質をセットしているといった事はないのです。
つまり、メッセージをやり取りしているネットワークに見えているのは、各臓器が流れてきたゴミ袋の中身の代謝産物に反応しているだけだという事になります。
ガンと血管の話の解釈
以上の考え方で、上に出て来たガンのふるまいを解釈するとどうなるでしょうか。
先ず、ガンが血管を呼ぶ話です。
これは、栄養不足な状態のガンが、その状態における代謝産物が入ったエクソソームを排出し、それに血管が反応しただけだと考えることが出来そうです。
栄養が足りない組織に向かって血管が伸びていくのは、それ程特別な話ではないと思われます。
その伸び先が、ガンだというだけの話なのです。
ガンと免疫の話の解釈
免疫を騙しているかのような話はどうでしょうか。
これは、ガンも元々我々人間の体の一部だと考えればよさそうです。
免疫とは、自己と自己以外を区別している働きだと言えます。
細菌やウイルスは、自己以外なので排除しますが、自己の体は排除する事は有りません。
その働きがおかしくなると、自分自身を攻撃しだして、潰瘍性大腸炎などの免疫性疾患になったりするわけです。
ガンは元々我々の体の一部だった訳ですから、免疫が自己の一部として認識しても可笑しくはないはずです。
それが実は、エクソソームを介して認識されていたという事では無いでしょうか。
エクソソームは、ネットワークの担い手などではなく、細胞のゴミ袋だったのです。
どうも最近のNHKのこの手の番組では、色々なものの擬人化が過ぎると思うのですが。
ではでは