DNAがプログラムならばCPUは何処にあるのか考えた話2です。
前回の記事
前回の記事では、DNAをプログラムとするとCPUがどこにあるのかを考える前提として、通常のCPUの動作をごく簡単に見てみました。
CPUが行っているのは、本質的には「算術演算」、「論理演算」といった演算処理だという事でした。
そのために、一般的に、フェッチ (fetch)、デコード (decode)、実行 (execute) という三つのステップで行うという話でした。
今回は、以上の事を踏まえて、DNAのプログラムを実行するCPUがどこにあるのかを考えて見ます。
生物ではどうなっているのか
CPUが行っている三つのステップに相当すると考えられるものが、生物にも存在するでしょうか。
先ず、フェッチに相当するのは、DNAの内容をmRNA(新型コロナ用のワクチンで有名になりました。)に写し取るステップという事になりそうです。
次に、そのmRNAの内容を読み取りながら、その内容に従ってタンパク質が作られます。
これが、デコードと実行のステップに相当すると考えていいでしょう。
タンパク質を作り出す部分が、生物におけるCPUだという事が言えるかもしれません。
演算結果の出力
ここまでの話で、生物を動かしている中心部分は、DNAのプログラムとそれに従ってタンパク質を生み出すCPUと考える事が出来そうです。
そして、作り出された多種多様なたんぱく質が、様々な働きをした結果として我々の体が作られ、維持されているという事になります。
これは、コンピューターにおける、演算結果が画面やスピーカー、プリンタといったものに出力される事に相当すると言えるでしょう。
マルチCPU
さて以上のように、DNAの内容をmRNAに写し取って、そのmRNAの内容からタンパク質を作り出すというのがCPUと同等の働きという事ですが、これらもまたそのためのタンパク質が行っています。
タンパク質ですから、理屈の上ではDNAの情報を基にいくらでも作り出すことが出来ます。
つまり生物の体の中では、大量のこれらのタンパク質即ち大量のCPUが働いているという事になります。
生物は、驚異的な数のマルチCPUシステムだという事が言えそうです。
例えば人間の体は約60兆の細胞で出来ているそうです。
その細胞それぞれに、1セットのDNAと上記のCPUの機能を果たす複数のタンパク質が存在するのです。
つまり、我々の体は、兆の単位の数のCPUが稼働するマルチCPUシステムだという事です。
こんなデバッグ地獄必至のシステムのプログラム作成は絶対やりたくないです。
ではでは