枢軸時代の同時性の謎について考えた話です
枢軸時代の同時性
前回の記事は、その活動が「枢軸時代」とも呼ばれている、釈迦、孔子、ソクラテスの3人の生きた状況がよく似ていたという話でした。
具体的には3人共に、一定の社会システムが存在し、かつそれが崩壊する過程を経た後の、群雄割拠の時代に生きていたというものでした。
そして、それがほぼ同じ時期に起こったというのが、残った謎という事でした。
戦国時代が似ている
さて、私的には、上に書いた「一定の社会システムが存在し、かつそれが崩壊する過程を経た後の、群雄割拠の時代」というのに思い当たる節があります。
それは、戦国時代です。
以前の記事で、戦国時代の背景について書きました。
律令制以来の社会システムが室町時代末期に崩壊し、その混乱からの立ち直りの過程が戦国時代だと考えました。
これは、上記の「枢軸時代」の時代背景に似ているのと思うのです。
太陽活動が原因か
更に、室町時代末期の社会システム」の崩壊は、シュペーラー極小期と呼ばれる太陽活動の低下による世界的な気温の低下で、農業生産が低下した事が原因だとも考えました。
これと同じことが、「枢軸時代」に発生したとすれば、地球規模での気候変動となるので、地理的に離れた地域で同時に同じような状況が発生した事を説明出来そうです。
という事で調べて見ると、ありました。
図中のほぼ中央にあるホーマー極小期は、そのボトムが紀元前750年前後と考えられているようです。
紀元前1000年頃に在るピークから低下していく中で、それに伴う気候不順により社会システムが崩壊し、その後の混乱期を経て、紀元前500年頃の次のピークに向けて回復する過程で、群雄割拠の時代になったと考える訳です。
共通点は見つかった
これで、ほぼ同時期に中国、インド、ギリシャで社会システムの崩壊とその後に群雄割拠の時代が現れたことは説明出来そうです。
さて、ここまで「枢軸時代」における同時性について考えて来たのは、そこに生きた3人の人物、孔子、釈迦、ソクラテスが、超越的なものに寄らない考え方を、同時期に別個に生み出した要因を見つけるために、その3者の共通点を探そうとしたからでした。
その結果見つかった共通点は、「彼らの生きていたのが、太陽活動の低下による地球規模の気候変動により、ほぼ同時期に中国、インド、ギリシャで社会システムが崩壊し、その後の回復期に訪れた群雄割拠の時代だった」というものでした。
では、この共通点で、孔子、釈迦、ソクラテスが新たな考え方を生み出したことは、説明出来るでしょうか。
次回、その点について考えて見たいと思います。
ではでは