ギザの3大ピラミッドの作り方について考えた話です。
祝日は別編成
NHKBSの放送は、祝日になると、編成が通中の平日とは違うものになります。
海外ニュースなどが亡くなり、再放送が多めになることが多いです。
今年のゴールデンウィークも傾向は変わらず、懐かしい番組をいくつか見る事出来ました。
3日には、ハイビジョン特集 エジプト発掘「ピラミッドはこうして造られた」が放送されました。
フランス人の建築家ジャン・ピエール・ウーダンが唱えている説に基づいて、ピラミッドを作った方法を検証してみるといった内容の番組です。
傾斜路を引っ張り上げた
ピラミッドの大きくて大量の石を運び上げる方法としては、普通に考えれば、傾斜路を使えばいいと考えますよね。
昔のハリウッド映画によく出て来た、奴隷がムチ打たれながら、引っ張り上げているあれです。
もっとも、奴隷が使われていたというのは、現在では否定されているようですが。
しかしこの方法には、問題点が指摘されています。
人力で石を運び上げることの出来る角度で傾斜路を作っていくと、最終的に1.6kmの長さが必要になるのです。
そうすると、その傾斜路を作るための石が、ピラミッド本体と同じぐらいの量が必要になってしまうのです。
また、その石を切り出した場所が、ピラミッドから500mの位置だったことが分かっています。
それに対して、1.6kmの傾斜路を作ると、石切り場から傾斜路の端まで、差し引き約1kmを余分に石を運ばなければならないことになります。
ウーダンの説
これらの不都合を避けることが出来る方法としてウーダンが考え出したのが、内部トンネル説なのです。
具体的には、ピラミッドの中にらせん状の空洞が有り、そこを使って石を運び上げることで、効率的に建設をしたというものです。
ウーダンの説がらみでは、以前の記事で、近年になって発見された謎の空洞の正体に関して考えてみました。
リンク:クフ王の大ピラミッドに見つかった、謎の空間の正体
これは、大ピラミッド内の大回廊と呼ばれている構造が、墓を構成する要素ではなく、建設に必要なものだったという彼の説を基にしたものでした。
内部トンネル
最初に彼の説を知った時に、大回廊の使い方については、一理あるなと思ったのですが、内部トンネル説については、懐疑的でした。
次の画像は、三大ピラミッドで最後に作られたメンカウラー王のピラミッドのものです。
引用元:メンカウラー王のピラミッド|メンフィスとその墓地遺跡 |世界遺産オンラインガイド
大きな傷がある事が分かると思いますが、これは破壊に失敗した痕だそうです。
これだけの傷をつけても、その中にトンネルのようなものは見つかっていないようです。
技術的に高度なものと考えられる内部トンネルが、3つ続けて作ったピラミッドの、最初のものには有って、最後のものには無いというのは、考え難いのではないかと思うのです。
傾斜路でもいけるのでは
とはいえ、最も分かり易い傾斜路を使った方法では、上に書いたような不具合な点があるのも確かです。
ところが、今回再放送を見ていて、やはり単純に傾斜路でいけるのでは無いかという、仮説を一つ思いつきました。
先ず、傾斜路の長さと採石場の位置に関してですが、そもそもこれは、傾斜路を直線で作ると考えるから問題となる訳です。
ピラミッドと採石場を結ぶ500mの直線を底辺とした、他の2辺がそれぞれ800mの二等辺三角形を考え、その2辺に傾斜路を屈折する形で作れば良いのです。
これで、1kmもの遠回りは必要無くなります。
次に、本体と同程度の量の石が必要な点ですが、これは2つ目のカフラー王のピラミッドの建造に使ったと考えれば、解決しそうです。
それでも、カフラー王のピラミッドを作るための、傾斜路が必要になります。
勿論それは、最後のメンカウラー王のピラミッドを作るのに使い、最後に残った分は、周辺の施設を整備するのに使う事で、辻褄が合いそうです。
ところで、今回の記事のきっかけになった番組ですが、もちろん再放送なのですが、初回の放送は、なんと2009年のようです。
10年以上も経ったとは、まったく月日の経つのは早いものです。
ではでは